第54章 あなたとは、たしかに何も話すことはない

南雲玲奈は父の言葉を聞き終えても、どう返せばいいのか分からなかった。

喉を何かに締めつけられたみたいで、長いこと言葉が出ない。

このままでは、なにかを隠していると悟られてしまう――そんな不安が胸をよぎった、そのとき。ちょうどレストランに着いた。

玲奈は慌てて話題を切り替え、両親を連れて車を降りた。

このレストランはかなりの人気店で、個室は事前予約が必要だった。けれど玲奈は取ることができず、仕方なく二人をロビー席へ案内する。

もっとも、両親は気にした様子もない。

二人にとって大事なのは店の格や雰囲気ではなく、家族そろって穏やかに食卓を囲めること。それだけで十分だった。

しばらくし...

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